■4人は研究棟の中でも玄関口から向かって一番奥に位置する第8プラントへと向かう。その途中2体目のアッサム星人が現れたが、イワオ隊員が高出力のライフル型光線銃サイクロン・ショットで攻撃すると、今度はすぐに動かなくなった。

 そして4人は第8プラントに到着する。そこには高さが10メートル近くある、土に半分埋まった巨大なパイナップルのようなアッサムの木が生えていた。(画像)やはり施設内に充満している毒ガスは、この木が発しているようで、第8プラント内は特に毒ガスの濃度が高い。プラント内には3体目のアッサム星人もいたが、これもイワオがサイクロン・ショットで難なく片付けた。そして続いてフブキがロケットランチャーで、薬品をアッサムの木に撃ち込む。星人よりはかなり大きいので、最初は劇的な変化はなかったが、数発撃ち込むと、白い煙がもうもうとあがり始め、表面が溶けてだんだんと形が崩れていくのが分かるようになった。

 するとそこで木からツタのようなものが複数伸び、すでに倒れて動かなくなっているアッサム星人の体に巻き付いた。どうも木から星人にエネルギーが送られていくようで、しばらくすると星人が再びムクっと起き上がった。ワタルたちは、銃でツタを攻撃し何本かは切ったが、何しろ沢山巻きついているのできりがない。そうこうしているうちにツタからエネルギーを送り込まれた星人は、見る間に巨大化していき、ついには第8プラントの天井を破りそうになった。

イワオ:「やばいぞ、退避だ!急げ!!」

■一同は第8プラントを出ると、施設内の各部屋ごとに設置されている気密扉を次々と閉めながら、全速力で研究棟を通り抜け、居住区の方へ向かった。その途中、玄関口付近でワタルは担架で研究員の遺体を運ぶ救助隊員たちを捕まえて聞いた。

ワタル:「遺体はどのくらい残ってますか!?もう終わりますか!?」
救助隊員:「あと5体です。まだあと10分はかかるかと・・・」
ワタル:「とても間に合わない・・・いいですか、いま巨大怪獣が発電所からこちらに向かって来ています。トリロスターに乗り込んだら船長にすぐに発進準備をするように伝えて下さい。残っている人たちを収容でき次第発進します。」
救助隊員:「わかりました。」

 その間にも、ドォンという重い足音と、怪獣が建物を壊しながら前進しているのだろう、爆発音のようなものが遠くで聞こえ、それは確実に近づいてきている。SARTのメンバーの中では、フウリュウ隊長を除けば、イワオ隊員が一番階級が高い。従って、こういう切羽詰った状況での判断はイワオに任されることになる。自然とイワオに他の3人の視線が集まった。

イワオ:「・・・トリロスターは発進準備から飛び立つまでには5分ほど時間がかかる。だから俺とワタルで怪獣の注意をひきつけ時間を稼ぐ。フブキ、イロズキは食堂に行け。残っている救助隊員をすぐに船内に戻らせるんだ。残りの遺体の回収はしょうがねえ、諦めさせろ。よし、行くぞ!」
ワタル、イロズキ、フブキ:「了解!」

 イワオとワタルは加圧服を着用すると、火星の地表移動用の小型バギーに乗り込み、トリロスターの発着所とは反対に向かって走った。しばらく行ったところで、イワオがサイクロン・ショットを巨大化したアッサム星人に向けて放つ。星人は研究棟の中程まで来ていたが、攻撃を受けると向きを変え二人の乗るバギーを追いかけ始めた。バギーは、星人が両肩の突起から放つ光線を、危うくかわしながら時間稼ぎを続けていたが、うっかり大きな岩に乗り上げてしまい、バギーは横転。二人は投げ出されてしまい、イワオは気を失う。迫り来る星人。ワタルはアストロナイトに変身した。

《アストロナイトVSアッサム星人》

■人間の姿に戻ったワタルは、イワオを目覚めさせると壊れてしまったバギーを乗り捨て、歩いてとトリロスターに向かった。その途中、もう一台のバギーにイロズキが乗ってやってくると二人を拾う。

イワオ:「やれやれ、最近微妙に成果を上げ始めていたマーズ・プラントだけに今回の事件による損失は痛いな。しっかし植物の実験場が、植物系宇宙人に襲われて壊滅だなんて皮肉な話だ。」
イロズキ:「なに、ものは考えようです。過酷な宇宙空間で生きのび、知能を持って自ら動き出すような宇宙植物が存在するんだ。それを考えれば、火星のテラフォーミングぐらいワケはない、とも言えますよ。・・・まあ、そうでも考えなければ救われないってのもありますが。」
イワオ:「・・・そうだな。あまりに多くの優秀な人材をいっぺんに死なせちまったからな。」

 イワオは、怪獣により大きく破壊されたマーズ・プラントを見つめ思わずため息をついた。3人を乗せたバギーがトリロスターに近づいていく。

(第20話おわり ストーリーズへ