■フブキは、ワタルの呼ぶ声で意識を取り戻した。

ワタル:「フブキさん!しっかりして下さい!フブキさん!」
フブキ:「ああ・・・ワタルか・・・怪獣はどうした?」
ワタル:「赤い巨人が倒しましたよ。それよりリエさんはどうしたんですか?」
フブキ:「リエ・・・そうだ、俺は・・・・・笑ってくれ。失神させられて、逃げられた。」
ワタル:「笑い事じゃないですよ。ラム・ブール星人側に何て説明したらいいか・・・」
フブキ:「でも、これで良かったのかもしれない。あいつらは卑劣な侵略者だ。これで、フェザロ星人達も少しは有利に闘えるようになるだろうし・・・」
ワタル:「何言ってるんですか!寝言はよして下さい!フェザロ星人は宇宙では有名な泥棒民族で、色々な機密情報を盗み出しては、それを必要としている勢力に高値で売りつけるという方法で荒稼ぎしているんです。それを取り逃がしてしまったなんて、IDAとしては大失態です!」
フブキ:「なんだって!?」

 やられた―――――
 とフブキは思った。確かに言われてみれば、いかにも悪党が人をだます時につきそうな嘘だ。そんなものを俺が見抜けなかっただなんて・・・やはり、リエに対する恋愛感情が、冷静な判断を曇らせたということか。
 
 フブキは脱力感で一杯になり、再び大の字になって寝転んだ。視界一杯に広がった雲ひとつない快晴の空が、自分と同じでひどく間抜けに思える。

 ―――ばかやろう

 と、思わずフブキは空に向かってつぶやいた。

(第12話おわり ストーリーズヘ