第9話「吸血ドラゴン」

■ワタルが休暇をもらったのでホシゾラ・サキとデートすることに。最近出来たばかりの“ドラゴン・アイランド”というテーマパークに行く。“ドラゴン・アイランド”は、様々な竜の伝説をモチーフとした冒険物語を、アトラクションにより楽しむことができるということがテーマである。二人は地球の技術とは思えないような不思議な技術を使ったアトラクションの数々に驚かされる。

■しかし、いくつかのアトラクションを体験すると、急にサキが「立ちくらみがする」「気分が悪い」と訴えたので二人は休憩所に。不思議なことに、休憩所はサキと同様一時的な立ちくらみを訴える人たちが溢れていた。

■そこでサキが自分の腕にごく小さな注射針の跡のようなものがあることに気付く。サキは看護士であり、これは確かに注射針の跡であるという。探してみるとその跡はワタルの腕にも見つかった。二人は不審に思い顔を見合わせる。

■すると、突然ワタルとサキの前に数人の男が立ちふさがり、「一緒に来い」と銃をつきつけおどす。二人は事務所のようなところに連れて行かれ、ドラゴン・アイランドの管理者だという男に、「自分達は他の生物の血を食糧とする宇宙人で、地球人の血はとても美味しいから、採取して母星に持ち帰り、高級食材として高く売ろうと思っている」ということを知らされる。

男:「そこでアトラクション中の心拍数を記録するという建前でひそかに血を抜いていたのだが、客の中にはたまにそのことに気付く者がいる。だから、そうゆう客が騒ぎ出すまえに彼らを隔離し、始末してしまうのが私の重要な仕事というわけだ。」

■しかし、次の瞬間、イワオ隊員と数名のAPの捜査官が部屋に踏み込んできて、ワタルとサキを救出する。実は、ワタルは、このテーマパークに入った時から盗聴マイクや、客に化けた監視員の多さを怪しく思い、密かにフウリュウ隊長に連絡し、イワオ隊員と捜査員を数名送ってもらっていたのだ。

■銃を構えた捜査員たちと、テーマパークのスタッフに化けた宇宙人たちがにらみ合う。すると宇宙人たちが一斉に、両手を前に突き出したポーズで小きざみに痙攣し始めた。さらに、彼らの体は、その痙攣に合わせるかのように黄緑色に光って点滅し始めた。

捜査員A:「何やってんだこいつら?やめろ!妙な動きをするんじゃねえ!!」
イワオ:「おちつけ。こっちが動くのを待っているのかもしれない。」
(しだいに宇宙人たちの痙攣が激しくなる)
捜査員A:「やめろって言ってんだろうが!!」(引き金をひく)
イワオ:「よせっ!!」

 銃が宇宙人の一人に当たり、宇宙人は倒れる。と同時に他の宇宙人たちも一斉に崩れ落ちた。彼らは皆、衣服だけを残して跡形も残っていない。

捜査員A:「どこへ消えたんだ・・・?」

 顔を見合わせる捜査員たち。その時、外から巨大な生物の足音が、ドォン、ドォンと響いてきた。一行は危険を感じて外に出る。建物の外には巨大な宇宙人が立っていた。(宇宙人画像)ワタルは、サキの保護をイワオにたのむと、自分は怪獣の注意を引きつけるためにドラゴン・アイランドの出口とは反対側に向かう。そして皆の避難が完了したころを見計らってアストロナイトに変身した。

〈アストロナイトVSキラース星人〉

■ワタルとイワオはドラゴン・アイランドの施設の調査を始める。そこにイロズキ隊員とフブキ隊員が応援に到着する。すると、イワオがワタルに言った。

イワオ:「お前はもういいから、サキさんと一緒に帰りな。」
ワタル:「えっ、あ、はい。でも、いいんですか?」
イワオ:「俺達は仕事柄マヒしちゃってるとこがあるが、一般人にとっちゃ宇宙人に関わる事件に遭遇することは相当ショックが大きいもんだ。しばらくは一緒にいてあげたほうがいい。」
ワタル:「・・・そうですね。ありがとうございます。・・・じゃあ、失礼します。」
(ワタルはサキの乗るIDAの特別車両に向かって走っていく)

ワタル:「じゃあ、帰ろうか。」(車に乗り込みながら)
サキ:「仕事はいいの?」
ワタル:「事件の被害者を家まで送り届けるっていうのも任務のうち。」(笑いかけながら)
(サキ、力なく笑って応える)
ワタル:「大丈夫?」
サキ:「うん。」
ワタル:「せっかくのデートが台無しになっちゃったね。」
サキ:「そんなことないよ。楽しかった。ワタル君が仕事してるとこも見れたし・・・でも・・・」
(しばし沈黙)
ワタル:「でも、何?」
サキ:「ううん。なんでもない。」
  
 サキは、ワタルが一人怪獣を引きつけるために走り去ったときのことを思い出していた。そのとき彼女は、実を言うと、ワタルがこのままどこかへ消えていなくなってしまって、二度と会えないような気がしてとても怖かったのだ。サキは一瞬、そのことを言おうと思ったのだが、なぜかそれは言ってはいけないことのような気がして言葉にできなかった。

(第9話おわり。ストーリーズヘ