第八話 「テッシー騒動」

■過疎の進む街があった。その町にはテシガワラ湖という大きな湖がある。

■ある日、その町の町長の所に、生物学者のミヤベという男がやってくる。テシガワラ湖で“ある生
物”を飼いたいのだという。ミヤベは、町の湖に謎の生物がいることが広まれば観光客を呼べると説
いて町長をけしかける。程なくして、テシガワラ湖は怪物「テッシー」が棲むという噂で有名になり、町を
多くの人が訪れた。

■しかし、ある日湖のほとりでバーべキューをしていた人々が何物かに襲われ重傷を負うという事件が
起こる。そこで、SARTがテッシーの正体を明らかにするため、テシガワラ湖の湖底を調査をしようとす
るが、困ったことに町長が調査を認めない。町長のもとへ行ったのはフウリュウ隊長とワタルである。許
可が取れ次第、フブキ隊員以下が機材を湖に運び込み調査を始めるという手はずであったが、予定は
狂い、仕方なく二人は事件現場など湖のほとりを調査して今日のところは引き揚げることにした。

■湖のほとりを二人が調査していると、ワタルが一人で湖を見つめている怪しい男を見つけ、その男の
跡をつけるが、男は姿をくらます。同時に湖から怪獣が現れた。(画像)ワタルは防衛センターに連絡し
、イロズキ、フブキがウインド・ウォーリアーTに、ギン、イワオがウォーリアーUにそれぞれ乗り込むと
出撃した。

■現場に向かったウインド・ウォーリアーが視界に怪獣の姿を捉える。

イロズキ:「目標の体高は約15メートルほど。おまけに周りが林だからミサイルやレーザー砲は当てづ
らいな。」
フブキ:「よし。それなら投下型のナパームを攻撃に使おう。」
 
■ウォーリアーTとUで二度爆弾を落とし、再びTが爆弾を落としに向かうところ。フブキが、キンリュウ
の背中がキラキラ光っていることに気付く。

フブキ:「こちらウォーリアーT。怪獣の背中がかすかに光っているように見えるが。」
ギン:「確かに。こちらからも確認できます。」

 ウォーリアーUのギンは前方にウォーリアーTを見ている。Tが爆弾を落とす。そこでキンリュウに目
を移すと、背中の光がさっきより強くなっており・・・・・

ギン:「フブキさん、よけて!!下から来ます!!」

 キンリュウの輝く背中から、空に向かって光の滝のような光線が放たれ、反応できなかったウォーリ
アーTの右の翼を吹き飛ばした。片方の翼を失ったTはバランスを失い、回転しながら落ちてゆき、地
面に激突すると爆発した。イロズキ、フブキの二人は辛くも脱出。(怪獣光線画像)

イワオ:「ただのデカいワニかと思ったら、意外な武器を持ってたな。」
ギン:「感心してる場合じゃないですよ。どうします?」
イワオ:「そうだな・・・ウォーリアーTが落ちて、相手に飛び道具があることが分かった以上、長期戦は
避けたい。」
ギン:「となると、キャノンを当てるしかないですね。」
イワオ:「ああ。一度高く上がって、出来るだけ深い角度で降下してみてくれ。」
ギン:「了解。」

■ウインド・ウォーリアーUは怪獣に向かってどんどん降下してゆく。再びキンリュウの背中がキラキラと
光り始めている。その輝く背中が次第に近づいてくる。それをにらみながら操縦していたギンは、ふと

(ああ、なんて美しいんだろう・・・)

 と、一瞬場違いなことを思った。次の瞬間、まばゆい閃光が走り、アクセレート・キャノンが発射された
。その力強い光の筋は、キンリュウの輝く背中に吸い込まれるようにして命中すると大爆発をおこした。

イワオ:「よしっ!!」
ギン:「・・・お見事。」
 
 こうして怪獣キンリュウは倒された。

■真夜中のテシガワラ湖のほとりに生物学者のミヤベが一人立っている。彼は、「ちっ、まだ幼かった
か・・・まあいい、また育てれば良いことだ。」とつぶやきながら、再び怪獣キンリュウの幼体を湖に放と
うとしている。そのミヤベにワタルが背後から声を掛けた。

ワタル:「動くな。」(銃を構えて)

 一瞬ピクリとしたクロカワは、それからゆっくりとワタルの方に顔を向けた。

ワタル:「その手に持っているものをこちらに渡せ。」
ミヤベ:「・・・。」
ワタル:「早くしろ!抵抗すれば撃つ。」
ミヤベ:「・・・やってみるがいい。そのちゃちな武器で私を倒せるかどうか。」

 そう言うと、ミヤベは本性である宇宙人の姿になった。(画像)それを見て、ワタルもアストロナイト
に変身した。

《アストロナイトVSプロフェス星人》

■新聞記事「テッシーの正体は50M巨大怪獣」

 昨日午前11時23分頃、○○県××町にあるテシガワラ湖から体長50メートル程の巨大な怪獣が
出現、通報を受け出動した、IDA(惑星間外交機関)の特別武装チームSARTによって撃退された。同湖
については以前より怪物“テッシー”が棲むという噂があり、研究者やマニアの間で話題となっていた。
同湖を所有する××町のクロカワ町長は、「以前からの噂がこれで裏付けられたことになる。これから
は怪獣の出た湖としてテシガワラ湖を××町の観光の目玉として売り出していきたい。」と語った。近
年度々出現し、その被害が深刻な問題となっている巨大怪獣だが、時には良い影響をもたらすことも
あるようだ。
(第八話おわり、ストーリーズへ