第七話 「復讐のロボット」

■通り魔に娘を殺された父親がいた。犯人は捕まったが、証拠が不十分であったため検察は起訴をあ
きらめた。しかし、どう見ても犯人はその男であることは明らかだとその父親には思えた。父親は無力感
を抑えきれず呆然とする。
 
 そんな父親の前に、怪しげなセールスマン風の男が現れる。その男は言った。「100万円払えば、あ
なたに一晩だけ“復讐のための体”を与えましょう。」父親はセールスマンに100万円を支払う。

■学校でひどいイジメにあっている中学生が、ビルの屋上から飛び降りようとしている。そこに謎のセー
ルスマンが現れる。そしてこう言う。「3万円払えば、君に“復讐のための体”を貸してあげよう。」

■程なくして、謎のロボットによる連続殺人事件が起こる。被害者は、一度通り魔殺人の被疑者として
逮捕されている無職の男と、クラスぐるみのイジメの主犯格であった中学生である。

■APの捜査員でフブキ隊員の友人のハセガワが、フブキに婚約者を紹介する。現在妊娠中で、間もな
く結婚する予定だという。ハセガワは幸せでいっぱいの様子だった。

 しかし、ある日ハセガワの婚約者は交通事故に会い、母子ともに死んでしまう。婚約者をはねたドライ
バーは、相当な量の酒を飲んで酔っ払っていたという。フブキがハセガワを見舞いに行くと、ハセガワは
感情を失くしてしまったかのように無表情だった。フブキはどうすることも出来ずに帰った。

■真夜中にハセガワからフブキに、「連続ロボット殺人事件の犯人が分かった。セールスマンを装った
宇宙人が、復讐を果たすためのロボットの体を貸し出してる。宇宙人のアジトは赤塚区不二尾1丁目16
番5号のアパート池上ハイツの204号室だ。いいな。必ず捕まえろよ。」

フブキ:「わかった。しかし、どうしてそんなこと分か・・・」(ブツッと電話が切れる)

 首をかしげるフブキ。しかし我に返るとハセガワのくれた情報をフウリュウ隊長に報告する。それから、
ふとハセガワが犯人を知ることになった経緯に思いが至り・・・・・はっとして、何処かへ向かう。

■自動販売機に缶コーヒーを買いに行っていたワタルが、司令室に入ってくる。

イロズキ:「ワタル、出動だ。例のロボット殺人の犯人の居場所がわかった。」
ワタル:「どうして分かったんですか?」
イロズキ:「捜査員のハセガワからフブキに犯人の居場所を知らせる電話が入ったらしい。今フブキが連
絡してきた。」
ワタル:「ハセガワさんって、この間結婚間近の婚約者を交通事故で亡くされた方ですよね。確か休暇を
とっているはずなんだけど何で捜査してたんでしょうか?」
イロズキ:「さあな。ともかくお手柄だ。後は俺達が突入して犯人とっ捕まえて一件落着さ、行くぞ!」
ワタル:「・・・すいません、俺ちょっと気になることがあるんで行きます。犯人の方はよろしくお願いします
ね。」(喋りながら走って行ってしまう)
イロズキ:「は!?行くってどこへ?おい、ちょっと待てよ!勝手な行動は、・・・チッ、まったく。何考えて
んだか。」
イワオ:「イロズキーっ!!早くしろ!!」
イロズキ:「はーい、今すぐ!」

■フブキが向かった先は、ハセガワの婚約者をはねた男、ヨネダの住所だった。到着すると、やはりフブ
キの予想通り、ヨネダは例のロボットに襲われていた。(ロボット画像)フブキはロボットとヨネダの間に割
って入り、ロボットに話しかける。「ハセガワ、お前なんだろ?この人を殺してもサエコさんは帰ってこない
。馬鹿なまねは止めろ!」

 ロボットは答える。「フブキ・・・早かったな。さすがに良いカンをしている。だが止めても無駄だ。俺は、
2人の命を酔っ払い運転で奪ったこの男を絶対に許さない。もしお前が邪魔をすると言うのなら、お前も
殺すまでのことだ。」

 フブキはロボットと格闘するが、すぐにハネ飛ばされ壁に背中を打ちつける。今度は銃を撃つ。しかし、
ロボットの鋼鉄の体はびくともしない。ロボットはフブキから銃を奪い、銃をフブキに突きつける。そして、
その引き金を引こうとした瞬間 ―――――
 
 横から赤い影が横から飛び込んできて、ロボットを押し倒した。アストロナイトだ。

《アストロナイトVSナインスポット》(等身大での闘い)
 
 ロボットはメテオブレード(アストロナイトの頭部に付いたブーメラン)は跳ね返すが、顔に開いた穴に光
線を打ち込むと、火花を散らして沈黙した。

■倒れたロボットに駆け寄り、抱え上げるフブキ。「ハセガワ、なんでこんなことを・・・優しくて、人を傷付
けるようなことは絶対にしなかったお前が・・・何で・・・」

ロボット:「これで良かったんだ・・・これでサエコのもとへ行ける。一番の親友であるお前に看取られてな
・・・結局人も殺さずに済んだ・・・へへっ・・・ありがとな・・・フブキ・・・」
フブキ:「何がありがとうだよ、バカやろう。死んじまったら何にもならねえんだよ。なあ、ハセガワ、お前
バカだよ。しっかりしろよ、バカヤロウ。こんなことあってたまるかよ。畜生・・・チクショウ・・・」

 完全に沈黙したロボットを抱きかかえ嗚咽するフブキに、ワタルは声をかけることが出来ず、ただそば
に立ち尽くすしかなかった。

(第七話おわり、ストーリーズへ