第六話 「コンクリートの中の悪魔」

■まだ築10年も経っていない新しいビルが、根元から突然崩れ多くの死傷者を出した。SARTが調査に
向かう。

■崩壊の原因は、体長15センチにも達する巨大なアリのような生物(画像)の仕業であった。この生物
がコンクリートを溶かし、鉄骨を喰いあさってビルの土台をボロボロにしていたのである。付近一帯のビ
ルを調べると、他にも怪生物に食い荒らされたビルがいくつか見つかった。これ以上の被害を防ぐために
は巨大アリの巣を見つけて、その女王アリを叩くしかない。

■早速、何匹かの巨大アリ(APはこの怪生物を ant dragon 、略してアンドラと呼称)に発信機を付け、彼
らの巣の位置を特定する調査が行われる。その結果、巣はその街から少し離れたエリアSO−4、ポイン
ト135にあると予想された。ポイント135に、フブキとイロズキが向かい地下を調べてみると、確かに巨大
な生物の反応があった。地底ミサイルを撃ち込み抹殺を図る。

■突然の地上からの攻撃に怒った女王アリ、クイーンアンドラが地上に姿を現す。(画像)そこに待ち構
えていたイワオ、ギンの乗るウインド・ウォーリアーと、ワタルが操縦するウインドアローが一斉に攻撃を
開始する。クイーンアンドラも口から霧状の強力な酸を吐いて反撃するが、高速で飛行する戦闘機には
大した影響が無い。たたみかける2機。クイーンアンドラは目に見えて弱ってくる。

フウリュウ(指令室から):「よし、そろそろ頃合いだな。ウォーリアー、アクセレート・キャノン用意。」
イワオ:「了解。アクセレート・キャノン、スタンバイ。」

 その時、クイーンアンドラが地上に出てきた時に開いた穴から大量の羽の付いたアンドラが飛び出して
くると、ウォーリアーに殺到し機体にとり付いた。羽アンドラたちは口から酸を吐き出し、機体にダメージを
与えていく。

イワオ:「何だこいつら!くそっ、前が見えねえ!」
ギン:「イワオさん、キャノンしまって!!使い物にならなくなります!」
イワオ:「畜生!!」(アクセレート・キャノンでの攻撃を中止)

 ウォーリアーは羽アンドラの大群に囲まれ、何とか飛ぶのが精一杯でとても攻撃どころではない。

■状況はワタルの乗るアローも同様である。無数のアンドラがとり付き、酸でアローの装甲を溶かしてお
り、コックピットでは機体の異常を知らせる警告音が鳴り響いていた。

ワタル:「まいったな・・・。こちらアロー1、隊長このままじゃどちらも墜落です。」
フウリュウ:「わかった。アロー、ウォーリアー両機とも一時センターに戻れ。体勢を立て直す。」
ギン:「ウォーリアー了解です。」
ワタル:「アロー1りょうか・・・」(大きな爆発音、コックピット大きく揺れる)
フウリュウ:「どうした!!」
ワタル:「左エンジンが爆発しました!虫が入ったのかもしれない・・・」
フウリュウ:「ワタル、脱出しろ!急げ!」
 
 ワタルを乗せたアローはふらつきながら落下していく。機体が地面に叩きつけられ爆発する寸前、機体
がキラリと光り、アストロナイト登場。

《アストロナイトVSクイーンアンドラ》

■(数日後、SART指令室。フウリュウ隊長が電話で話している。)

フウリュウ:「何!?また例のシロアリが・・・かなりの被害が出ている!?・・・仕方がない。また彼らの
力を借りるしかないかもしれないな。わかった。それじゃあ、私のほうで手配はしておく。」

 (緊張した面持ちで電話を切ったフウリュウを見ているSARTの隊員たち。)
フウリュウ:「ん?どうした?」
フブキ:「また出たんですか?」
イワオ:「今度はどこです?」
ワタル:「例のシロアリってアンドラのことですよね!?」
フウリュウ:「ああ・・・いやいや違うんだ。いやね、実は俺の実家の古い家が、前からシロアリに悩まされ
ているんだ。一度業者に頼んで駆除してもらったんだが・・・」
一同:「なぁんだー」(一度立ち上がった状態から再び椅子に腰を下ろす。)

イロズキ:「びっくりさせないでくださいよー」
フブキ:「時と場所を考えて下さい!」
ギン:「というか司令室でプライベートな電話はダメですよ・・・」
フウリュウ:「いやあ、すまんすまん。だが幼い頃を過ごした思い出深い家だから気が気じゃないんだよな
。そうかぁ、紛らわしいか。あっはっはっ・・・」
 
 今日ものん気なSARTの隊長は、大声で笑いながら司令室を出ると何処かへ行ってしまった。

(第6話おわり ストーリーズへ