第五話 「背の伸びる薬」

■長い宇宙の航海の末、偶然地球に辿り着いた宇宙船があった。そして、その宇宙船にはユーリカ星
人の一団が乗っていた。地球に降り立ったユーリカ星人たちは、地球にある何か貴重なものを自星に
持ち帰り、富を成そうと考えていたが、地球は人類が支配しており、地球上にあるものは何一つ勝手に
持っていくことは出来ないと知る。

■武力を使い、無理やりに奪うという方法もあったが、彼らは必ずしも暴力的な種族ではなかったため
、そういった方法は取らず、人間の文明に従い商売をすることにした。調査の結果、意外にも一番売れ
そうだったのが、ユーリカ星人が長い宇宙旅行の間に体が衰えてしまうことを防ぐための肉体維持薬で
あった。それを人間が服用すると、大幅に身長が伸びることが分かったからである。

■SARTの隊員、ワタルとギンは街をパトロール中、「背伸び薬」を売る店の前に長い行列ができている
様子を目撃する。並んでいる客の一人に話を聞くと、何でもここで買った薬を飲むと誰でも身長が5cm
から10cmぐらい伸びるのだという。

男:「僕の友達は、3人がここの薬を飲んで、みんな明らかに前より背が高くなった。聞いた話だと20c
mも伸びた人もいるらしいですよ。」

 話を聞いて異常だと感じた二人は、その薬を分析してもらおうと思い、ひとつ買うと防衛センターに持
ち帰った。

■科学調査班の解析により、その薬は地球の物質ではないことが分かる。しかし、より重要なのは、そ
の薬が人間の背を高くする代わりに、人体に大きな負担を強いるため、使用者の寿命を大幅に縮めて
しまうという事実であった。すぐさまIDAは、「背伸び薬」は宇宙人が作ったものであり、服用すると寿命
が縮むという事実をアナウンスし、薬を買わないように、また持っている人は使わないようにと注意を呼
びかけた。

■このIDAの対応に激怒したユーリカ星人は、テレビの電波をジャックしてIDAに宣戦布告する。

ユーリカ星人:「我々は君達が作ったルールにのっとり、正当にこの星の通貨を得ようとした。それを一
方的に禁止するというのならば、我々もそれに対抗するための武力を持たないというわけではない。今
すぐ我々の薬品の販売を許可せよ。さもなくば我々は、我々の宇宙船によって日本の首都東京を火の
海にするだろう。」

■ユーリカ星人の宇宙船(画像)が東京上空に現れ、街を爆撃し始める。それを阻止するため、SARTに
出動命令が下された。
 (SART指令室)
フウリュウ:「よし、フブキ、イロズキはアロー1で出撃。それから、イワオ、ギン、ワタル。お前らはウォー
リアー(画像)に乗っていけ。」
ワタル:「えっ?ウォーリアーはもう実戦で使えるんですか?」
フウリュウ:「ラッキーなことに今日付けで使用許可が下りてる。使いたいだろ?」
イワオ、ギン、ワタル:「はい!!」

■東京上空で、ウインド・アロー&ウォーリアーとユーリカ星人宇宙船が激突する。まず、先行するアロ
ーが宇宙船の光線をかわしてミサイルを撃ち込む。が、そのミサイルは宇宙船に届く前に、何か見えな
い膜のようなものにぶつかって爆発した。

イロズキ:「ちっ、一丁前にバリヤ張ってるぜ。」
フブキ:「今、バリヤの種類を解析する。今ある装備で無効化できる代物だといいが・・・」
イワオ:「隊長、そんなことより俺は一丁、こいつ(ウォーリアー)の主砲をぶっ放してみたいんですが。」
ギン:「アクセレート・キャノン、チャージ完了。いつでも行けます。」
フウリュウ(指令室から):「・・・そうだな。ものは試しだ。やってみよう。」
イワオ:「よっしゃ!了解!」
(照準を合わせる。)
イワオ:「アクセレート・キャノン、ファイヤ!!」
(発射された光線は、ユーリカ宇宙船のバリヤを突き破り、本体に命中する。宇宙船は燃え上がり落下
。しかしこれでは終わらない。墜落した宇宙船から、巨大な宇宙人〈画像〉が姿を現す。)

■ウインドアローが間髪入れずに、巨大宇宙人に攻撃を加える。ヒット&アウェイで遠ざかるアローに向
かって、星人が何らかの光線を放つ。それはアローに命中したように見えたが、アローには何の衝撃も
なかった。

イロズキ:「今、何か喰らったか!?」
フブキ:「わからない。でも計器に異常はない。」

 ウインド・ウォーリアーは、星人に向かって飛びながらミサイルで攻撃。相手がひるんだところをアクセ
レート・キャノンを開いて止めを刺そうとするが、その時、前方からアロー1が突進してくる。攻撃を中止
し、必死に回避するウォーリアーの横をアロー1が猛スピードですれ違う。

ワタル:「何だ!?」
イワオ:「アロー1!!何やってる!?」
フブキ:「こちらアロー1!ダメだ、操縦が効かない。アロー1は勝手に動いてる。」
イワオ:「勝手に動いてる??」
イロズキ:「たぶん、アイツに操られてるんだ。さっき変な光線を浴びちまった。」

 そう言っている間にもアローはウォーリアーを攻撃してくる。ウォーリアーは必死で回避するが・・・
ギン:「アローのほうが速力と機動性は上です。このままじゃすぐに捕まりますよ。」

■ギン隊員の言葉通り、ウォーリアーがアロー1によって撃ち落される。ウォーリアーに乗っていた3人
は墜落する機体から何とか脱出。ワタルは地面に降り立つとアストロナイトに変身した。
 

《アストロナイトVSユーリカ星人》

■ユーリカ星人が「背のびる薬」として売っていた肉体維持薬は、後に少し改良することで人間用として
も使用できることが判明する。薬はすぐに宇宙飛行士の必須アイテムとして定着した。ユーリカ星人た
ちは、自分達の道具を、もっと堂々と地球側に売り込む手立てを考えるべきだったと言える。(第5話お
わり。ストーリーズへ