第三話 「屋上のバルーン・ツリー」

■サラリーマンが二人、ビルの屋上でタバコを吸っていると、屋上の片隅にマシュマロのようにつるん
とした、白いサボテンの様なものを見つける。踏んづけてみるとゴムのように弾力があった。何なのか
分からず気持ちが悪かったので燃やしてしまおうと思い、タバコの火を押し付けた。しかし、白い物体
には焦げ跡ひとつ付かなかった。(画像)

■数週間後、都心のとあるビル街には異様な光景が広がっていた。一帯のビルの屋上にはことごとく、
白い植物のようなものが生い茂っていたのである。人々は不安になり、IDAに連絡する。

 フブキとワタルが現場に調査に向かう。通常の刃物では傷も付かない頑丈な謎の物体を、二人は高
出力のレーザーで何とか焼き切るが、切り取った瞬間、植物は空高くロケットのように飛んでいってし
まう。

フブキ:「どうやら極めて軽いガスが中につまってるらしい。それがこんなに生えてるとなると、ビルごと
引っこ抜かれる可能性もあるな。」

 直ちに付近一帯のビルに避難命令が出され、改めてAPの科学調査班が調査に向かうこととなった。

■科学調査班が調査をしていると、まわりのビルがひとつ、またひとつと空に昇っていく。それはどこ
か幻想的であり、それゆえ空恐ろしい光景でもあった。(画像)


■科学調査班の分析結果をもとにフブキ隊員が開発した薬品により、謎の植物の駆除が始まる。駆
除作業は順調に進むが、とつぜん謎の植物の変化形態と思われる奇怪な生命体がビルの谷間に現
れると、作業に当たっていたIDAの職員たちに襲い掛かった。(ボサラス画像)職員たちの駆除作業
に参加していたワタルは、それを見てアストロナイトに変身する。(おまけ)

《アストロナイトVSボサラス》(戦闘シーンはご想像にお任せします。)

■数日後、SART司令室。
通信員:「エリアTS-24にボサラス出現!SART出動要請が出ています。」
フウリュウ:「よし、そうだな。フブキ、ワタル、ちょっと行ってきてくれ。」
フブキ、ワタル「了解!」

■フブキとワタルがウインドアローで出撃。エリアTS-24にてボサラス確認するとミサイルを発射。その
ミサイルには、例の謎の植物駆除のために開発された薬品をボサラス撃退用に改良したものが詰め込
まれている。ミサイルが直撃すると、ボサラスは崩れ落ち、粉のようになってしまう。

 任務を終えた二人は速度を落とし、他に何か異常が無いか確認しつつ、エリアTS−24上空を飛行し
た。
ワタル:「大分片付きましたね、例の植物。」
フブキ:「ああ。あと一週間ぐらいで作業も終わるって、本部の連中も言っていたよ。」
ワタル:「それも、フブキ隊員が作った薬品のおかげですよ。ビルの屋上一面に生い茂ってた植物を、あ
っという間に枯らして、おまけにあんなでかい怪獣も一撃で倒せるんですから。すごい薬です。」
フブキ(苦笑しながら):「別に俺一人で作ったわけじゃないよ。昔のよしみで科学調査班の仕事にちょっ
と手を出しただけだ。それに反省もしてる。駆除作戦はもっと慎重にやるべきだった。植物だって生き物
なんだから、危害を加えられたら抵抗するのは当然のことだ。俺はそのことを忘れていた。もしその点を
考慮してれば、怪獣ボサラスの出現もある程度予測出来てたかも知れない。そしたら、もっと犠牲を少な
くできたはずなんだ。」
ワタル:「フブキ隊員は真面目ですね。イロズキ隊員と違って。」
フブキ:「イロズキよりはね(笑)だけど、ああゆう人間もチームには必要なんだよ。」
ワタル:「そうですね(笑)」
 二人を乗せたウインドアローは防衛センターに向かって飛んでいく。(第三話おわり。ストーリーズへ