第十五話 「モンスター・ハント」
■地球に接近してくる宇宙船があった。(画像)IDAはこれを警戒し、宇宙船に向けて警告を発すると共にSARTに迎撃体勢をとらせたが、すれ違いで宇宙船のほうからも通信が入った。それによると、宇宙船はグソー星人の貨物船で、重要な荷物を運んでいるところだが、宇宙船の機器にトラブルが発生し至急修復作業が必要なので、地球への着陸を許可してもらいたいとのことだった。IDAは着陸を許可し、富士山麓に着陸場所を指定した。

■グソー星人の貨物船が大気圏内に突入してくる。しかし、機器のトラブルは思ったよりも深刻であったらしい。貨物船は突然火を噴くと、急速に落下し始めそのまま富士のふもとに派手に墜落、船体は大破し炎上した。直ちにSARTが消化及び乗組員の救助に向かう。しかし、グソー星人の乗組員たちはほとんどが死んでおり、一人だけまだ息のあった者も、ひどい怪我をしていてとても助かりそうもない。ともかくも安全な所へ運ぼうとすると、瀕死のグソー星人は何かを必死に伝えようという素振りを見せた。そこで、その言葉を翻訳機で変換してみると・・・(画像)

イワオ:「グリモン・・・凶暴な獣、か・・・どのぐらいの大きさなんだそいつは?」

 フブキが質問を入力し、翻訳機がそれをグソー星人の言葉にして表示する。瀕死のグソー星人はそれを見て再び言葉を発した。そしてそれを最期に息をひきとる。少し間をおいて訳語がディスプレイに表示された。

>2.5m
>あなた達
>少し大きい

イワオ:「人間サイズか・・・森に潜んでるとしたら厄介だな・・・」
フブキ:「森に入って捕り物をするならそれなりの装備が必要です。それに人数も。」

 二人はフウリュウ隊長に報告を入れると、一時防衛センターに戻った。

■報告を受けたフウリュウは、IDAの組織の一つである補充鎮圧部隊(SURF)に協力を要請した。補充鎮圧部隊とは、宇宙人との大規模な武力衝突が起こった場合に、基本的には捜査機関であるAPを戦闘面で補充的に支援する事を目的とした部隊である。そのSURFから、地上戦闘のスペシャリスト25名が選抜され、SART隊員5名と合わせて計30名からなるグリモン掃討隊が組織された。掃討隊は6チームに分けられ、各5名のチーム単位で行動する。森の近くには指揮所として巨大なトレーラーが2台停められ、フウリュウ隊長はここから各チームを指揮する。また、フブキ隊員はグリモン捜索を容易にするための装置を開発するために、一人防衛センターに残った。

■捜索が始まるが、一日目はグリモンの姿を見ることさえ出来ずに日が暮れた。二日目、フブキが新兵器を持って捜索隊に合流する。

フブキ:「昨日、宇宙船の周辺でグリモンの体液と思われるものを採取しました。それを分析した結果、グリモンの体には地球には存在しないグリオセチルという特殊な物質が多く含まれているということが分かりました。。この、“エレメント・グラフィー”は、多量のグリオセチルを含む物体が500メートル以内に存在すると反応し、その物体までの距離と方向を示します。」

■二日目の捜索が始まる。すると、早速SURFのチームγ(ガンマ)のエレメント・グラフィーに反応が現れた。チームγは、近くにいたチームε(イプシロン)と共に目標物であるグリモン(A)(画像)を追いつめ包囲すると、一斉射撃でまず一匹目のグリモンを仕留める。しかしその後は何も起こらず、二日目も日が暮れた。

■真夜中、掃討隊の宿営地であるテントにグリモン(B)が忍び寄る。グリモン(B)は、チームγが回収したグリモン(A)の死体を奪うと、それに気付いた見張りのSURF隊員の銃撃を受け傷つきながらも、再び森の中へ逃げ帰った。

 洞窟のなかで、何か食べている傷ついたグリモン(B)・・・


■捜索三日目。SARTチームが、3匹目のグリモン、グリモン(C)を捕捉。(A)の時と同様に射撃を加えつつ次第に包囲して、いよいよ止めを刺すというところで・・・

 突如、森の中から10メートル位ある巨大なグリモン(B)(画像)が、ぬうっと出現。そして、呆気に取られているSART隊員たちが見つめる中、グリモン(C)を捕まえるとバリバリと音を立てて喰ってしまった。我に返り、グリモン(B)に射撃を加えるSART隊員たち。そこに、上空から捜索を行っていたギン隊員の乗るヘリコプターも駆けつけ、ヘリからの射撃も加わった。苦しそうな声を上げるグリモン(B)。しかし突然・・・

■グリモン(B)の体が急激にふくらみ始め、変形したかと思うとついには50メートル以上ある大怪獣になってしまった。(画像)劣勢に立たされるSARTの4人。それを見て、ギン隊員がヘリでグリモンの注意を惹きつける。ギン隊員は巧みな操縦でグリモンの攻撃をかわしていたが、ついにグリモンの吐いた火炎にまかれ、ヘリは操縦不能となる。墜落していくヘリを追うグリモン。それを見て、ワタルはアストロナイトに変身する。

《アストロナイトVSグリモン》

■ワタルとイロズキは、ヘリコプターで墜落したギンを救出するために森の中を進んでいる。すると目的地付近で突如、エレメントグラフィーが反応を示す。警戒しながらも更に進むと、どんどん反応は強くなっていく。目標までの距離100m、50m、10m・・・二人の目が前方の茂みの中で動くものをとらえる。二人は立ち止まり、慎重に銃の狙いをつける。しかし次の瞬間、茂みの中から姿を現したのはギン隊員だった。

ギン:「ワタルさん!イロズキさん!迎えに来てくれたんですか?」
イロズキ:「・・・そうだ。それより、こいつがお前に対してもの凄く反応してるんだがどうゆうワケだ?」

 イロズキは持っているエレメントグラフィーを軽く叩いて言った。

ギン:「ああ、多分これですね。」

 そう言うと、ギンは右脚を二人のほうに向けて見せた。ギンの右脚には、ヒジからちぎれた人間大のグリモンの腕がくっついている。

ギン:「途中で転がってたんで、蹴ったら突然動いて脚をがっちりつかまれちゃったんです。取ってくださいよ。」

 イロズキとワタルは、ほっとして思わず二人で顔を見合わせた。

イロズキ:「・・・やだよ、気持ち悪い。どうせ回収はするんだから、お前足に付けたままひきずって来いよ。」
ギン:「そんな・・・取ってくださいよ!これかなり重いんですから!」
イロズキ:「そんなもん、不用意に蹴ったお前が悪い。なあ、ワタル。」
ワタル「同感です。行きましょう。」

 そう言うとイロズキとワタルはさっさと来た道を戻り始めた。

ギン:「ちょっと・・・ちょっと待って下さいよぉ!」

 その後ろを、ギンが右足を引きずりながら焦って追いかける。

(第15話おわり ストーリーズへ