第一話 「ホシゾラ・ワタル」

ホシゾラ・ダイスケ(年齢50)が山道を車で走っていると、道に一人の青年(25歳ぐらい)行き倒れて
いるのを発見する。ホシゾラは青年を急いで病院に連れて行った。青年は命に別状はなく、順調な回復
を見せる。しかし、意識が戻ったあとも、彼は行き倒れていた以前の記憶がなく、自分の名前さえも分か
らないと言う。身分の分かるようなものも持っておらず、親族も現れなかったので、ホシゾラは青年をワタ
ルと名づけ、一緒に暮らすことにした。ちなみにホシゾラは、十年前ほど前に妻に先立たれており、今は大
学生の娘サキ(20)と二人暮しである。

■ダイスケとサキの親子、そして記憶喪失の青年ワタルが一緒に暮らし始めてから三年。すべての記憶
を失って、廃人のようになっていたワタルも、ホシゾラ親子と共に生活をするうちに少しづつ人間らしさを取
り戻し、最近ではダイスケの仕事を助手として手伝うようになっていた。そんなある日、カノウと名乗るセ
ールスマンが、ダイスケを尋ねてくる。ダイスケとカノウはリビングでしばらく話していたが、急にダイスケ
が声を荒げ始めると、次の瞬間、物が倒れる大きな音がした。ワタルとサキは各々部屋を飛び出しリビン
グに向かった。

 リビングには何故か、煌々とした光が満ち満ちていて、しっかりと目を開けていることが難しいほどだっ
た。その中でカノウの影がダイスケに対して銃のようなものを向けた。ワタルは、「やめろ!」と叫びカノ
ウに突進したが、強烈な衝撃波が飛んできてはじき飛ばされてしまう。そして、カノウが手に持った銃か
ら渦巻き状の光線が放たれると、ダイスケの姿が突然消えてしまった。呆然とするワタルとサキを置いて
、カノウはリビングの窓を破って外に出て行ってしまう。ワタルが我に返り窓辺に駆け寄ると、ちょうど煌
々と光り輝く宇宙船が、空の彼方に飛んでいくところであった。

■その日以来、サキはすっかり塞ぎこんでしまう。無理もない。小学生のとき母を病気で亡くして以来、
自分をずっと男手ひとつで育ててくれた大好きな父親が、突然消えてしまったのだ。そんなサキを見て、
ワタルは、何としてもこの手でダイスケを連れ去った宇宙人を見つけ出し、ダイスケを取り返そうと決心
する。

ワタル:「おじさんは3年前、記憶喪失で身元も分からなかった僕を引き取って、我が子のように面倒を
    見てくれた。だから、今度は僕がダイスケさんを助ける番なんだと思う。僕は必ず、おじさんを誘
    拐した犯人を見つけ出して、おじさんを連れ戻す。約束するよ。だから元気を出して。」
サキ:「ワタル君・・・でも、そんなことどうやって・・・?」
ワタル:「僕はSARTに入る。」
 そう告げると、ワタルは出掛けていった。

■ワタルは、AP(物語の背景参照)の東京本部に行き、「SARTに入りたい」と言うが、受付の者は笑って
相手にしてくれない。結局、IDAの職員採用のパンフレットを渡されてしまう。仕方がないので帰ろうとして
いたとき、一人の男にぶつかった。その拍子に、男はカギを落としたので、ワタルが拾ってあげると、男は
礼を言って受け取った。その瞬間、男の手とワタルの手が触れる。するとなぜか、ワタルの脳の中に、何か
遠い記憶が蘇ってくるような、軽い衝撃が走った。そして、何となく「この人は地球人ではない」と思った。
男は、AP本部の建物を出て行く。ワタルは男の後をつけた。

■男はしばらく歩くと、看板の掛かっていない古いビルに入っていった。そしてそのビルの地下一階の、
もともと何かの事務所だったと思われる部屋に入ると、机の上の花瓶を動かしその下にあったボタンらし
きものを押す。そして、奥の壁に向かって歩いて行ったかと思うと次の瞬間、壁に吸い込まれるように消
えた。ワタルも後を追おうとしたが、壁に頭をぶつける。そこで思い直して、男と同じように花瓶の下のボ
タンを押してみると、壁をすり抜けることができ、その先には下り階段が続いていた。その先にまた部屋
があったので物陰に身を隠し男の様子を伺っていると、男は宇宙人の姿になる。(スクリプト星人画像)
して、大きなモニターで、何やら仲間の宇宙人と通信を始めた。

S星人:「はい。今、APの捜査員になりすまし潜入しています。まだ気付かれてはいません。もう少しでID
    Aの機密情報を手にすることができるかと。」

 それを聞いたワタルに、怒りの感情がこみ上げてくる。この宇宙人がAPの捜査員になりすましていると
いうことは、本物の捜査員ははどこかに捕まっているか、あるいは既に殺されてしまっているということで
ある。今、目の前にいる宇宙人の姿と、ダイスケを連れ去った宇宙人の姿が重なり、気付くとワタルは、
近くにあった鉄パイプをつかみ、宇宙人に殴りかかっていた。

 しかし、鉄パイプを振り下ろそうとした瞬間、何かバリヤーのようなものにぶつかり、ついでに壁際まで
吹っ飛ばされる。

S星人:「何者だ。どうやってここに入ってきた。」
ワタル:「あんたをAPの本部からつけて来ただけのことだ。何となく怪しいと思ったんでね。」
S星人:「フム・・・。なぜ怪しいと思ったか知らんが、秘密を知ってしまった以上、死んでもらうしかないな。」
 
 S星人は片手をワタルのほうに向け、手から光線を発射。しかしその時、ワタルの胸の辺りで青い光が
スパークし、星人の光線をはね返す。はね返ってきた光線が当たりそうになり、S星人がひるむ。

■一方、ワタルは何が起きたのか分からず呆然としていたが、胸の辺りが妙に熱いことに気付き、服の
下を探るとペンダントが手に触れた。(ペンダント画像)それは、ワタルが山の中で行き倒れているとき、
手に握っていたものだった。記憶を取り戻すキッカケになるかもしれないと、ペンダントにして常に持ち歩
いていたのだ。

 その青いペンダントが、ぼんやりと光っていた。少し熱を持っている。その光がしだいに強さを増したか
と思うと、次の瞬間ワタルの視界は青白い光につつまれた。(アストロナイトに変身する。(アストロナイト
画像)


S星人:「やはり、地球人ではなかったか・・・」

《アストロナイトVSスクリプト星人》
(戦闘シーンはご想像にお任せします)

■S星人を倒したワタルは、閉じ込められていた捜査員を救出。その捜査員と共にAP本部に行き事情を
話すと、数日後、IDAの機密情報の流出を防いだ功績が認められて表彰され、特別にSARTの入隊試験
を受けさせてもらえることとなった。(第一話おわり)

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